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ニュース&コラム

2021.07.04

上手になる人の共通点は?【言葉の空間認識】

上手になる人の共通点は?【言葉の空間認識】

今日は真面目な話を書きます。

上手くなる人って必ず目からの情報での空間認識だけでなく、耳からの情報でも脳みその中で『言葉の空間認識』が出来る人だと思います。

先に着地点を書いちゃいました(笑)

操作が上手くなるように → からだを意のままに動かせるか?
空間認識が高くなるように → 眼からの情報をうまく処理できるか?

これがスポーツであり、クルマを速く上手に走らせるうえでは、速く走らせるという走らせ方(操作だったり挙動を感じたり調整能力だったり)と共に、走らせる空間(コース幅やコーナーの形や大きさとその中での車の位置や向きを察知する能力)の認識も大切で、その合体共同作業が基本ですが、アマチュアの方が上手く出来ない( = 私で言うところの”ゴルフが上手くいかない”と同義 笑)のはまず、、、

何が起きているのかわかってない
どうして起きているのかわかってない
どうやったら治るのかわかってない

この3段活用で、これは何かを上手になるための必勝法も一緒です。

これらを踏まえたうえで、”人間は忘れる動物である”という大前提の元、『上手に自分の記憶と体に印字が出来て、それを忘れないでいつでも引き出せたり使い分けたりできる人 = 練習が上手な人』が必ず安全に速く、上手に走れます。

我々インストラクターでありプロDrは、これを高いレベルで精度よく出来る上に、経験値(色々なクルマを色々なサーキットの色々な環境下で色々な目的の為に走らせた事)があるので上手で速くて当然と言えば当然です。

だから、『言葉の空間認識』って書くと???と思われるでしょうが、言葉尻ではなく書いてある意味や意図を深く多角的に探れる人は上手になる可能性が高いですよ!というお話でした。

ここからは上手くなる人の共通項の話、一般編です。

最近はシミュレーターという便利なものが出来ましたから、現場に行かずとも効果的な練習が出来る時代になりました。

しかし、意外と上手に活用している人はまだ少ない。
シミュを使って上手になっている人の共通点は、、、また今度話します。

が、、、

実走行での練習は『考えと実際に起きる事のすり合わせ』の作業でしかないので、すり合わせの精度を上げるには頭の中で走る前にどれだけシミュレーションをしておいて、いざという時に適切な引き出しの中身をサッと取り出せるか?です。

私もドラサポでお客様のクルマに乗る時は名前、車種、サーキット、コンディションなどをなるべく把握して、起きうる事をシミュレーションして現場に入るように心がけてます。
(この辺の話もシミュ同様に改めて)

だから事前情報はとても大切だし、朝サーキットに向かうまでの流れも大切。

アマチュアの方ほど、この準備と流れづくりって疎かじゃありませんか?

走行中に考えたり調整ができないレベルで走ってしまうのはアマチュアの方は少しリスクが高いので、そういう意味では自分の100%を上げるトレーニングも大切ですが100%でなくても80とか90%で自分の100%に近い能力を出せる方が実践的、そういう意味では耐久系のレースに参戦してみるとそういう事がよく分かります。

話戻って、、、シミュの良い所は、特にアマチュアの方にとっては実走行の時間(練習)が確保しづらい = 上手になるのが難しいスポーツだからこそ『上手な引き出しの開け方や”走りながら考えたり調整したりする”練習』が出来る、という事です。

でも逆に、シミュの怖い所はスポーツのスキルアップにありがちな『”やり方”を覚えようとする人』にとってはデメリットになってしまう危険性がある点です。

これってどんな人の事を言うか?というと、、、
例えばAさんがどこかのレッスンに参加してこういう事を学んだ、こういう事をインストラクターから言われてタイムがアップした!みたいな話をした時に『今度あった時それって何か教えて!』みたいな事を書いたり言ったりする人って居るでしょ?

あーいうタイプの人です。(笑)

やってみて、やり方が合っているか?も分からず、一応やってみてダメだ~~!!ってなる奴です。

要は『上手になる為に教えてくれ!教えてくれ!』ではなく、あの人が言っていた〇〇とこの人が言ってた▼▼はきっとこういう事だろうから、自分の中ではこういう事なのではないか?って、クルマ、人、環境という係数を入力して、自分にあった考察がめぐらせられるかどうか?です。

たとえ話をひとつ。

私もゴルフのスウィング改造でスライスを治すために『腕とグリップを絞れ』、『バックスィングの時に右足の踵が浮くほど振るな』『肩よりも腰が先に回転を始めるけどクラブがボールをどう打ったかまで見続けろ』などと言われて実践した所、良くなった部分もあったけど今度はフック系になって、時折打ち出し自体が左へ行ってしまったり、飛距離が飛ばなくなったりして悩みました。

でも、とある人に『肛門の位置を高くするようにアドレスして背筋の形を意識、あとは自分が一番しっくりくる振りやすいリズムで振る事と素振りは2回までにして、その1回目からホントにボールを打つつもりで素振りしてみな』って言われて、それを実践したら、飛距離も元に戻り、ボールの方向性や球筋も良くなった。

要はやり方を詰め込むと、それが出来ているかどうか?サーキット走行で言えば『レコードラインはここで、ここでブレーキ、ここは〇速、ここはここまで孕んでここで全開になる』みたいな、カレーの作り方のテキストを読みながら2時間掛けて初めてカレーを作ってみました、みたいな走り方になってしまうのです。

クルマでサーキット走らせるのは急いで走るので、テキスト読みながら、ナビ見ながらなんて無理で、もっと言えばカレーを作るのに牛肉が無くて鶏肉を使わなければいけなくなったり、ご飯なくて冷凍したサフランライスしかなくても、それに合わせて微調整して何も見ずにしてカレーを1時間で作れるかどうか?の部分が大切です。

ゴルフが少し分かる人なら、私が挙げた例、言い方とアプローチが違うだけで『何が起きているか?なんで起きているか?』までは共通認識、『どうしたら治るか?』の部分が”●●を▼▼にする”という”やり方を覚える”ではなく、”■■が▽▽になるように”という、何かを上手くやった結果として目的である”どうなっているか?”がイメージできる様な視点かどうか?なだけです。

クルマで言うと、操作をこういう風にっていうのも大事なのですが、それは目的ではなく手段なので、もっと大事なのは速く走らせる為に車がどういう状態なのか?、その為に操作はどういう風にすればいいのか?がリンクしている事です。

ワンスマで、
広場トレーニングで台車を使ったり、車載映像を見ながらBOXティッシュを車に見立てて動かしたり、シミュレーターで消音にして走らせたりするのは(色々手法あり過ぎ 笑)、全てやり方を覚えるトレーニングだけでなく、その結果車がどうなっているか?の妄想力や目からの情報だけで車がまるで動いているような錯覚を起こすほどの体感力が連動させられるか?を大事にしているから。

そういう意味では広場トレーニングは屋内の一室でも出来るし、シミュレーターだって筐体が多軸で動く必要なんてない、、、という考え方もあります。
(シミュでリアルな景色、リアルな操作感、リアルの挙動を求めすぎるのは、自分では出来ないからと言えるので)

人によってタイプがあるので一概に言えませんが、クルマをサーキットで走らせるという行為は基本難儀でミスした時のリスクが高いスポーツなので、本当に自分の中で消化できている事、絶対にミスなく出来る事を保守的にしかできないスポーツ。

だから一瞬、何かのキッカケで半歩前進した様でも直ぐにちょっと違う状況に置かれた時に一歩下がってしまう(笑)

つまり、、、
自分の中での工夫やアレンジや正しい自己流になっていく為にスキルアップの法則を知っておくのが大切だし、スポーツに限らずなんでもこの”成功の方程式”を実体験している人はそれに置き換える事が出来れば解決のヒントが沢山あると思います。

ここまでが一般編、ここからは実践編です。

いまここで書いている事が理解できて出来る人はある程度、既に上級者かもしれませんが、サーキットでクルマを(特にレーシングカーを)走らせる時は目的があって必要な時以外は絶対に”余裕があってゆっくり走る”はNGです。

当然、最低限の安全マージンという意味での余裕は大切ですが、本当は1分50秒で走れるのに1分51-2秒で走ろうとする意味ではなく、1分55-57秒で走ろうとする行為です。

これを続けると”ゆっくり走る”を間違って刷り込んでしまう。
(人間は忘れる動物であると同時に、反復していると習慣づいてしまう動物でもあります)

これは走り方のコンセプトの部分なので色々な考え方があるます。

安全に走って貰う、ゴルフで言うとOBになるとボールなくすから、ここは安全にドライバーではなく6アイアンで確実に前に進んで2オンではなく3オンを確実にしてボギーを狙っていきましょう、、、な状況ならいいのですが、OBにならないようにドライバーで良いから6-7割の力でゆっくり振れ、って奴です。

スコアメイキングとしてドライバーを持たずに6アイアンを持つことも時として必要かもしれませんが、ちゃんと打ったら240ヤード飛ぶドライバーでゆっくり振って真っすぐ180ヤード飛ばそうとするのは意外と難しいですよね。

何故ならそんな振り方をする事をそもそも、そのドライバーは設計されてないからです。

これがレーシングカーならなおさらです。
プロ仕様のちゃんと芯食ったら300ヤード飛ぶ様なドライバーみたいなモノがレーシングカーなのでスリックタイヤなら本来狙った温度や空気圧まで上がらなくてグリップしない、ゴミを拾うと良いことなし、しかもダウンフォースだってクルマが狙った領域じゃないから、そんなクラブでゆっくり振って真っすぐ180ヤードを狙うのと同様に、ゆっくり走ってるのに逆にフラフラして難しいのです。

それをまた、電子制御で誤魔化すように防御出来てしまうのは、その時はいいけど、実は逆に上手くならなかったり車に不用意な負担をかけてトラブルの元になったりもしてしまう、、、

そんな状況を、昨今の車の性能が著しく高くなったからこそで、多く目にしてきました。

性能が高い車になればなるほど、その車の性能の6-7割で走るのは逆に難しいので、高い所を目指す、高いレベルのクルマを走らせるなら、絶対に人間の性能を上げる必要があるし、それにはちゃんと自分の環境や自分の目的にあったプロセスを踏む必要があるという事なので、走らせている側の都合や目的に乗せられてしまっていたら不幸であるだけでなく危険である、という事です。

色々と今日は書きましたが、最後にもう2個だけ、大切な事を書きます。

スポーツって技術の話になり易いけど、根性論とは言わないまでも競技中のメンタリティはとても大切。

例えば30分のスポーツ走行のラストラップにベストタイム出る人居るでしょ?
これは『これが最後だ』って集中力が増すから。

要は技術で出したタイムではなく気持ちで出したタイムって事なので、物理的に性能が高いはずの序盤にその集中力で走っていたらもっとタイム出るのでは?となる。

常に、
走り出してすぐから”あと5Lapで帰らないと”とか”この周でチェッカーが出る”の精神で走れるか?とか、逆に”これが最後の走行だけど〇秒が出ないと帰れまテン”の精神で走れるか?です。

いつも言うように『精神が技術を育て、技術が精神を引っ張り上げます』。

それから、これもいつも言うけど
本当に上手くなりたいなら、、、『自分のクルマ、自分のお金、自分の手間とリスクを背負って向き合う』、これが大切です。

”キッカケ”としてとか”新しい機会を試す”とか、という意味で人の金、人のクルマ、人のリスクって言う時はあって良いのですが、ゴルフも人のクラブ、人のお金、人の都合でプレーしている人はあまり上手くならない気がします。

言葉の空間認識って所からだいぶ色々と脱線しましたが、常日頃色々なアマチュアドライバーの方の走り、考え、スタイルに触れることがあるので刺激を受け、自分に置き換え、自分もとってもインストラクターとして皆様に育てられていると実感しています。

まだまだ話したい事たくさんあるので、じっくり書く時間が出来たら。